ネタバレのない感想は以下の記事を読んでください。
「続きを読む」以降はネタバレ全開でいきます。
総評
またまた良いストーリーでぶん殴られたな〜もっと吸いたいな〜という気持ちでいっぱいです。こういうとき、だいたい二次創作を吸いにいくのが定番の動きなので、同人誌即売会とかで注目しがち。
周回とか、好感度を上げて個別エンドを見るとか、そういうのはないのでとっつきやすいです。バッドエンドを見たらだいたいの関係性が回収できます。まあでもフルボイスなので真面目にセリフを堪能しているとけっこう時間がかかるかな~。魔女裁判はかなり読み飛ばしていたので、そこも実時間でプレイしていたらもっとかかったかも。
かわいい子がひどい目に遭いつつも、最終的には牢屋敷から脱出できたり、逆に前向きな気持ちで牢屋敷に居座ることを決意できたり (マーゴとか)、比較的救いのある終わり方だったように思います。「配信少女ノ裏垢迷宮」や「魔法少女ノ因習村」ではどうなるんでしょうね。
ヒロが1周目の初手であっけなく殺されたの、エッいいの!? と思ったけど今思うとあれがちゃんと物語に効いていたのか~。ヒロが月代ユキの正体に気づき、自分の誤ちにも気づいてエマと仲直りをしたいと思った矢先、エレベーターからエマの死体が登場して、あちゃ~趣味が悪いな~と思いました。さすがに3周目までは想像できていませんでした。
話題
バッドエンドでこそ関係性が輝く
まのさばには数々のバッドエンドがあります。看守にあっけなくやられるものから牢屋敷の不思議な力で存在を抹消されるものまで様々ですが、やはり人間関係に着目したバッドエンドがいちばん美しいのではないでしょうか。
例えば、第3章でハンナとシェリーがほうきで飛んでいるとき、いきなり選択肢が出てきます。「え、ここで死ぬの?」と思ってウキウキしながらバッドエンドの選択肢を選ぶわけですが、こんなの嫌いなわけないだろ!! という展開でよかったです。このまま2人で、行けるところまで……。そうして2人は二度と帰ってこなくなります。このような関係性になっていることからも、第3章の殺人事件はシェリーがハンナを救おうとした結果であるということを読み取れたのでしょうか。
もう1つ例をあげると、第8章で片膝をついたレイアが差し出した手をヒロが取るかどうかを選ぶ選択肢が出てきます。まあ当然、ここで死ぬんだろうな~と思いながら手を取ってみたわけですが……。レイアから見ても、ヒロから見ても、欠けたパズルの1ピースがはまったような満足感が得られたようです。ゴクチョーの説得は失敗に終わり、みんなを救うには、私たちが殺していくしかないという結論に至るのでした。なんとエマのことはさらっと流されています。「愛の残滓」エンドでも救済のために全員殺すという手が取られていますが、このときとの違いは、横に支えてくれる人がいるということでしょうか。テキストの美しさが際立っています。
こういう感じで挙げていくとキリがないわけですが、誰しも1つは好きなバッドエンドがあるはずです。ただ悲惨なだけではなく、そこには宝石のような輝きを放つ結末がいくつも眠っています。
好きな魔女裁判のシーン
第4章、アリサが死んだことに対する裁判で、ついに自殺として片付けられるのかと思った瞬間に全てをひっくり返され、エマが容疑者として尋問を受ける構図になったところでしょうか。プレイヤーが行っていたことをプレイヤーが受ける、そうして無力なまま魔女として選出される、そして裁判が終わったときの喪失感のある楽曲とともにエマの独白が始まり——この一連の流れで息を飲むことになります。
第9章の最初の裁判で、マーゴを魔女化させるための「反論」の選択肢が2周目における「偽証」と同じものだった、というのに以下のイラストで気づかされ、そうそう~こういうのが好きなんだよな~という部分をくすぐられました。あと、魔女化ヒロがちょっと縮んでいるというのも後で知ってホクホクしました。魔女化立ち絵がけっこう好きで、誰か1人だけ選ぶならヒロが一番好きで、次点でアンアンでしょうか。
あと、いきなり顔の良さについて言及しだしてウケました。

最後に制限時間100分の審問があるのは流石にウケてしまったけど、あれってダンガンロンパですか?
カタルシスと寂しさを同時に味わう
裁判の結果が出たあと、犯人による独白のシーンのBGMで胸を締め付けられることによって、裁判は終わります。仲良くなれるはずだったのに、人を殺してしまって今から魔女として処刑されるんだ、そう思いながら紙芝居が転換していくのをただ見ていくしかありません。無力ですね。よかったですね。
「救いを求めるヒトの音」もかなりいい、全てを失って初めて分かったみたいなシーンで流れる楽曲で、ニクいですね。
橘シェリー
最初はおちゃらけ探偵キャラだと思っていたのですが、噛めば噛むほど味が出て止まらないキャラだな、可哀想だな、という気持ちがどんどん強くなるのでした。感情が壊れてしまい、シミュレーションによってそれらしく振る舞っており、ハンナを殺したことが裁判で突き止められた後もあっけなく自供していくので度肝を抜かれるわけです。これも親友のハンナとの約束を果たすためだった、ということに後から気づかされます。また、2周目でハンナが殺人をしてしまい、魔女として処刑されるシーンでも、シェリーが看守の制止を振り切ってハンナと共に死ぬことを選びます。感情が分からなくても、ハンナの言動を見て突き動かされるものがあったのは間違いないでしょう。
3周目の魔女裁判で、自力で魔女化してみせたのは流石にやべーなと思いました。
一言で言い表せそうに見えて、実はものすごく奥が深い、というキャラクターが好きすぎるんでしょうね。
橘ハンナになることは想像しやすいけど、遠野シェリーにはならなさそう、と思っています。いかがですか? いかがとは?

全身立ち絵
立ち絵の下半身ってあまり見ないな~と思っていたけど、イラストコンテストのページにだいたい全部載っていました。
エマはやはり魔女なんじゃないか
ヒロの気を引くためにわざと失敗していたことを打ち明けて、過去の関係のこじれをおあいこにする、というラストシーンがありました。このセリフだけ見ると、仲直りできてよかったね~~ということになるかもしれないけど、「先にヒロちゃんの心を縛っていたのはボクの方だよ?」という言葉と突き合わせると、こいつマジで魔性の女だな……という気持ちになりますね。
他にも、Twitterで見かけたのですが (元ツイートを発掘できたら貼りたい) 牢屋敷にヒロ以外にも少女が捕らえられているのを確認して安堵する、というのも冷静に考えるとちょっとズレている、みたいな話があったと思います。
エマの制服のスカートが短いのはヒロちゃんの気を引くためだったのでしょうか?
疑問
シャワールームの鏡の中からエマに呼び掛け、エマに成り代わろうとした人や、泉でヒロの存在を抹消した人の正体は何なのでしょうか?
2周目の出だしで、ココが別世界 (おそらく1周目) の様子を千里眼で覗き見ることができているのは、魔女化する前からココの魔法にそのような力があったということなのでしょうか?
第9章の裁判で、他の少女たちにとってみれば初対面で、かつ化け物にすら見えるヒロの言うことに従って魔女裁判が開廷され、順番にトラウマを刺激されるということが平然と行われていたのは、冷静に考えると異様な光景だと思います。やはり、牢屋敷という常識が通じない空間だからこそ成立していたのでしょうか? 黒幕であるメルルと、リーダーとして場を仕切ろうとしていたレイアが早々に魔女化させられたことで、流れができやすかったのかな。
魔女因子を失ったシェリーは力加減がうまくいかなくて生活に支障をきたしていないでしょうか? ハンナが支えてくれるのでいいのかな。
本編終了後#まのさばネタバレ pic.twitter.com/463OJIIF94
— ごまぬ 異ノ祭B-15 (@gomanuwww) 2025年11月14日
「配信少女ノ裏垢迷宮」や「魔法少女ノ因習村」に登場するヒロは、私たちが知っているヒロとどれくらい連続性のある人格なのでしょうか?
「救いを求めるヒトの詩」はどこで流れるはずだったのでしょうか? あるいは、アップデートや追加コンテンツで流れる可能性があるのでしょうか?
おわりに
記事にしてみたものの、明らかに語り足りないがどこが足りていないのか分からない状態が続いている!! 続きは飲み会で、とかになりませんか? たぶん雑談しながら書き起こしたらもうちょっと出てくるんだけど、一人で考えて書くのだとなかなか引っ張り出せていない部分があると思います。
いつまでも加筆していると公開するタイミングを失うと思うのでいったん出してしまいます。